探偵興信所と言うと「企業調査専門ですか?」「個人からの依頼でも結婚調査くらいしか請け負って貰えないのでは?」といった古いイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現在の興信所の仕事では、前記の調査ばかりでは無く、昔よりある夫婦間のトラブル、いわゆる「浮気調査」「不倫調査」と言われる素行調査や、家出や行方不明者の捜索をする所在調査を得手とする興信所も少なくはないです。更に現在、何かとニュースを騒がしているストーカーに対する身辺調査、お子様のいじめに対応する実態調査など、様々な調査を請け負っています。特に「浮気調査」は興信所の仕事の中でもっとも依頼の多い業務です。このあたりは探偵事務所と同じであり、むしろ探偵と興信所の明確な区別がなくなってきています。

探偵に関する法律に「探偵業法」がありますが、同法では尾行・張り込み等の手段にて依頼者に結果を報告するのが探偵業務、とされています。

(定義)
第二条
他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務を行う営業をいう。

尚、当興信所も探偵業法による届出をしており、尾行、張り込みをする「浮気調査」を得意な業務としています。
探偵業務を行うには興信所と名乗っても探偵業届出が必要なため、探偵はどのような業務を行い、興信所はどうこう等の区別はもはや必要ないと言えるかもしれません。

ちなみに興信所にかかわるガイドラインである「興信所業者が講ずべき個人情報保護のための措置の特例に関する指針」というものがあります。

第2(用語の定義)
ア 調査業務 他人(個人である者に限る。以下同じ。)の生命、身体、財産その他の権利利益の保護のために必要な人の所在又は行動に関する事項について、当該他人の需要に応じて調査し、その結果を当該他人に報告する業務
イ 興信所業 調査業務を行う営業
ウ 興信所業者 興信所業を営む者
エ 依頼者 興信所業者にアの事項について調査を依頼した者
オ 対象者 依頼者が興信所業者にアの事項について調査を依頼した場合において、当該調査の目的となる人

同ガイドラインでは、興信所 探偵の定義が記載されています。

また、興信所であればどの様な依頼でも簡単に請け負うことができるわけではなく、その興信所自体にそれなりの技術や知識、経験が無ければなりません。
請け負った調査の結果を出す事はもちろんですが、社会情勢の知識習得から進化する最新技術の取得など広範囲に及ぶ日々の努力も業務のうちに含まれます。

興信所に関する法律や権限

警察と興信所は「調査する」という意味においては、確かに似ている部分も多いですが、それぞれの役割や権限においては大きな違いがあります。警察は公共の安全を守るために、法に基づいて捜査を行い、捜査の過程で発生する疑問点や問題を解決するためにさまざまな方法を用いることができます。警察には捜査のために様々な権限が法律によって与えられています。捜査を進めるためには、必要に応じて証拠を集め、証人を尋問し、容疑者を逮捕することができます。これに対して、興信所や探偵は、依頼者からの依頼を受けて情報を収集することが仕事の中心となりますが、警察と異なり、法的な権限は全く与えられていません。

警察から捜査の協力を求められることがある場合、その場合は私たちは協力しなければならないという義務があります。これは法律に基づくものであり、協力しない場合には「公務執行妨害罪」として逮捕される可能性もあります。警察官が行う捜査は、刑事事件を解決するためのものであり、その捜査に協力することは、私たち市民の義務として認められています。捜査が進行中である場合、私たちはその協力を怠ることなく対応しなければならず、拒否することで法律に反する行為をすることになり、最悪の場合、逮捕されることもあり得ます。

一方で、興信所や探偵事務所にはそのような捜査権限は存在しません。探偵が依頼を受けて行う調査は、あくまで私的な情報収集にとどまります。したがって、他人に強制することはできず、依頼者からの指示に従って行動することが基本となります。そのため、調査が進行する中で、他人に不安や恐怖を与えるような行為を行ってはならず、倫理的にも法的にも問題が生じる可能性があります。興信所や探偵は、調査対象となる人物や関係者に対して不必要な恐怖や不安を与えないよう十分に配慮しなければならず、調査の方法や進行においては、常に法律を遵守する必要があります。

また、探偵調査の進行中に予期しない危険が発生することもあります。例えば、尾行や張り込みの途中で予想外の事態に遭遇した場合、探偵自身が危険に晒されることがあります。このような状況においては、探偵は自らの判断でその危険を回避する必要があります。法律的には、正当防衛の範囲内で自分自身を守ることが許されていますが、過度な反応や違法行為に至ることは絶対に避けなければなりません。危険を回避するために行動する際も、法律の枠内で行動することが求められます。

興信所や探偵事務所の調査には、他の特別な権限は一切与えられていません。調査の依頼を受けた場合、結果を出すことが求められますが、その過程においては、常に法的な枠組みの中で調査を行うことが基本です。尾行や張り込み、調査対象者の行動の確認などは、一般的に違法とは見なされていません。しかし、これらの行為が行われる場所や状況によっては、違法行為として問題視される場合もあります。

近年、ストーカー被害や盗撮被害など、プライバシーの侵害を伴う犯罪が増加していることから、多くの地方自治体では迷惑防止条例を設定しています。このような条例は、特に探偵業務に大きな影響を与えており、尾行や張り込みが近隣住民に迷惑をかけることとなる場合、違反となり得ます。その結果、調査を行う際には、十分に地域の条例や法令に注意しながら、調査が行われるべきです。これにより、調査方法が限られ、探偵事務所は非常に慎重に調査を行う必要があります。

例えば、調査中に他人の住居に立ち入るようなことがあれば、明確に「住居不法侵入罪」に該当します。探偵が調査のために他人の敷地内に入ることは、厳密に言えば違法行為です。もし調査対象者が自転車を使用していて、その自転車を追いかけるためにその場にあった自転車を無断で使うことがあれば、「占有離脱物横領罪」に問われる可能性もあります。このように、探偵が調査を行う際には、非常に細かい部分にまで法的な配慮が求められます。

尾行や張り込みを行う過程でよく遭遇するのが警察官による職務質問です。警察官は、怪しい行動をしている人物に対して職務質問を行う権限を持っています。探偵は、その職務質問に対して真摯に対応しなければなりません。もし、職務質問に不誠実に対応したり、警察官の指示に従わなかったりした場合、最悪の場合「公務執行妨害罪」として逮捕されることも考えられます。これは、警察官の職務を妨害する行為が法的に許されないためです。

このように、興信所や探偵事務所は、法的な権限が与えられていないため、非常に慎重に調査を行わなければなりません。法律をよく理解し、調査中に発生する可能性のある問題に対して適切に対応することが求められます。アメリカなど一部の国では、探偵に対して特別な権限が与えられている場合もあります。例えば、州によっては探偵に拳銃を携帯する許可が与えられていることもありますが、日本においてはそのような権限は一切認められていません。

現在の日本の興信所の探偵は、一般市民と全く同じ権利の中で調査を行わなければならないため、警察との連携による事件解決などというシナリオは現実的には考えにくいです。ドラマや映画、探偵小説のように、警察と探偵が協力して事件を解決するということは、実際には非常に稀なケースであり、実際の探偵業務はもっと制約が多く、慎重に進められるものです。

このように、探偵業務には法的な枠組みの中で行うべきことが多く、違法行為に至らないように十分に配慮しなければなりません。そのため、探偵は日々法律を学び、業務の進行において問題が発生しないように気をつけながら調査を行う必要があります。

欧米の興信所

日本の興信所と欧米の興信所(アメリカ、イギリス、ドイツなど)の大きな違いの一つは、何と言ってもその「社会的地位」や職業的な認知度、そして規制の厳しさにあります。日本における興信所の運営は、比較的軽い規制の下で行われているのに対し、欧米ではその認可やライセンス取得のプロセスが非常に厳格であり、社会的にも高い地位が確立されているのです。特に、アメリカやイギリス、ドイツといった国々では、探偵業や興信所業務に携わるには、相応のライセンス(免許)を取得することが求められます。このライセンスの取得には、特別な試験や審査をクリアすることが必要であり、単に申請をするだけでは簡単には取得できない仕組みになっています。

ライセンス取得とその審査

欧米では、興信所や探偵が業務を行うためには、まずライセンスを取得する必要があり、このライセンス取得のためには厳しい審査や試験を受ける必要があります。アメリカでは、州によっては探偵業に従事するためには一定の実務経験が求められたり、法的な知識を試す試験に合格する必要があります。例えば、法律に関する知識、証拠の収集方法、倫理的な規定などについての深い理解が求められます。試験に合格した後でも、一定の期間、監査を受けたり、定期的に再試験を受けることが義務づけられている場合もあります。これにより、興信所業務を行う者が法的に認められた人物であることが保証され、社会的にもその信頼性が高まります。

一方、日本では、興信所を開業する際には、各都道府県の公安委員会に所定の手続きを行い、審査を通過することで認可を受けることができます。手続き自体は比較的簡便であり、誰でも認可を受けることができるため、欧米のような厳格な審査基準や資格試験は存在しません。そのため、特に専門的な訓練を受けていない人物が興信所業務を行うことも少なくありません。日本の興信所業界は、比較的参入障壁が低いため、社会的地位や信頼性が欧米のそれに比べて低いことが多いのが現実です。

ライセンス取得後の仕事の幅

欧米の探偵や興信所は、ライセンスを取得した後、その職業範囲が非常に広がります。ライセンスを持つことで、弁護士のように、法的に認められた範囲での業務を幅広く行うことが可能となります。これにより、一般的な個人情報の検索が許可されることもあります。例えば、社会保証番号(日本の住民票にあたる公的資料)、前科者リスト、クレジットヒストリー(借金履歴)など、他国では比較的簡単にアクセスできる公的情報を調査に利用することが認められています。日本ではこのような個人情報の取得に関して非常に厳しい制限が設けられており、個人情報保護法のもとで情報を収集するには特別な手続きを要しますが、欧米ではライセンスを持つ探偵がこれらの情報にアクセスすることが合法的に許可されているのです。

このように、欧米では探偵業が非常に広範囲な調査能力を持つ職業として認知されており、法的に認められた情報を収集し、さらにその情報を元に高度な調査や分析を行うことが可能です。そのため、探偵業は単なる個人のための調査にとどまらず、企業や政府機関からも依頼を受けることが多いのです。探偵業の実務の幅広さや深さは、ライセンスを持つことで得られる法的な特権があるからこそ成り立っています。

法的協力と警察との連携

欧米の探偵は、しばしば警察との連携をとりながら業務を進めることが多いです。特に、探偵が扱う案件が重大である場合や、警察が関与する可能性が高い場合には、警察の捜査協力を得ることが一般的です。欧米では、探偵業が私的な調査機関という枠を超えて、公的な警察業務に近い活動をすることもあります。ライセンスを持つ探偵は、警察からの協力要請に応じることができるため、その活動は非常に広範囲にわたります。時には、犯罪捜査において警察官と並んで調査を行うこともあります。

さらに、欧米では、特定の州や国によっては探偵が拳銃を所持することが認められていることもあります。アメリカの一部の州では、探偵が合法的に武装して活動することが許可されており、この点においても日本の探偵業とは大きな違いがあります。探偵が拳銃を所持することが認められている背景には、その職業が非常に高い社会的認知を受けていることがあり、公共の安全を守るための一環として、一定の武器を持つことが許可されています。

欧米の探偵業の主な依頼内容

日本の興信所では、個人からの依頼が多く、浮気調査や人探し、結婚調査などの私的な調査が主な業務です。これに対して、欧米の探偵は、企業からの依頼を受けることが多く、調査内容も企業に関連したものが多い傾向にあります。例えば、企業信用調査や、取引先の信頼性調査、大規模な不正調査、商業的な詐欺の調査など、企業が直面する問題に対する解決策を提供することが求められます。また、大手のホテルや商業施設では、施設内で発生する問題を解決するために、探偵を雇い入れることも一般的です。ホテル内でのトラブルや、宿泊客に関する調査、さらには従業員の不正行為の監視なども、欧米の探偵が関与する案件です。

元警察官としての経験が生かされる

欧米の探偵業では、多くの探偵が元警察官であることが多いです。警察官としての経験は、探偵業務において非常に役立つため、元警察官が探偵として転職することは一般的です。警察の捜査技術や犯罪捜査の知識は、探偵業務においても重要なスキルであり、その経験がそのまま探偵としての業務に生かされています。元警察官が多くの探偵に見られる理由は、探偵業が警察と連携して行われることが多いことや、公的情報を簡単に取得できることから、警察官としての経験が直接役立つからです。探偵業が警察の補助的な役割を果たすことも多いため、元警察官が探偵として活躍するのは自然な流れと言えるでしょう。

このように、日本の興信所と欧米の探偵業との間には、ライセンス制度や業務の幅、社会的地位において大きな違いがあります。欧米では探偵業が高度に認知され、ライセンスを持つことで法的にも社会的にも多くの特権を享受し、警察との連携や公的情報の取得も容易である一方、日本の興信所はその社会的地位や

警察官出身の探偵でも苦労する

日本において、警察官が退職後に探偵業を始める場合、すぐに成功を収めるわけではないという現実があります。警察官としての経験や権限を持ち込むことができないため、警察官時代に培った調査スキルやネットワークが全く通用しないわけではありませんが、それでも大きな違いに直面することが多いのです。その一つの大きな要因は、日本の探偵業界や興信所業界の社会的地位が非常に低く、また、探偵には法的権限が何も与えられていないという点にあります。警察官時代に持っていた権限を失うことで、調査活動を行う際に経験則や技術があっても、民間の探偵としては全く別の障害に直面することになるのです。

警察官時代の権限とその限界

警察官として活動していたときは、実際に調査を行う際に警察官という職業がもたらす信頼性と権限が大きな強みでした。例えば、警察車両を使用しての張り込みや捜査活動は、もちろん所轄警察との連携のもとで行われており、一般市民や対象者に対して警察であることを明かすことなく進めることができました。警察官は、地域の警察署とのネットワークが強固であり、地域住民に対しても、警察手帳やバッジを提示すれば、調査や張り込みがスムーズに行えます。そのため、民間の探偵や興信所とは異なり、行政機関のサポートを受けられる立場にあったと言えます。もし近隣住民や通行人に張り込みのことを怪しまれても、警察官であることを伝えれば、協力的に調査が進められたのです。

一方、民間の探偵業では、そのような特権は一切ありません。たとえかつて警察官であったとしても、興信所に所属していることを明かせば、それだけで警戒され、調査がうまく進まなくなることが多いのです。警察時代に簡単に得られていた協力が、民間の探偵として活動する場合には、まったく得られなくなることが非常に多いのです。このギャップは非常に大きく、元警察官であっても、その権限や影響力が全く効力を持たないことに驚くことが少なくありません。

民間の探偵としての厳しさ

民間の探偵業を行う場合、まず最初に直面するのが「身分を隠さなければならない」という現実です。調査対象の人物に対して、どんなに信頼性のある理由があったとしても、興信所の探偵であることを明かせば、その時点で調査が難しくなる可能性が非常に高いのです。例えば、聞き込み調査においても、「興信所から来た者だ」ということを言ってしまうと、ほとんどの人々が警戒心を抱き、話をしてくれなくなることが多いのです。聞き込みにおいては、身分を明かさずに情報を収集しなければならないため、非常に困難な状況に直面することになります。警察官であれば、身分証明を提示するだけで調査協力が得られる場面でも、民間の探偵はそのような特権を持っていないため、一度断られると、その後の調査を進めることが非常に難しくなります。

また、現場での調査活動では、警察のような法的権限が一切ないため、強制力を伴った行動を取ることができません。例えば、住居に関する調査を行う場合でも、無断で敷地に立ち入ったり、特定の人々に接近することができません。日本の興信所においては、非常に狭い範囲でしか調査活動を行うことができず、民間の探偵としてはその制限に従わざるを得ないという現実があります。こうした制限が、元警察官であっても調査活動を行う際の大きな壁となるのです。

日本における社会的地位の低さ

日本において興信所や探偵の業界は、社会的地位が低く見られることが一般的です。多くの人々にとって、探偵業は「裏仕事」や「グレーゾーン」と捉えられており、その社会的認知度は非常に低いと言えます。探偵業界における法的な制約や、社会的な評価の低さが、業務の遂行に大きな影響を与えることが多いのです。特に、依頼者が抱える問題が個人的なものである場合、探偵や興信所の利用を周囲に知られたくないという人々も多いため、業務が顕在化しにくく、依頼者にとっては敷居が高く感じられることがあります。

これに対して、欧米では探偵業がより社会的に認知されており、ライセンス制度や高い社会的地位が確立されています。アメリカやイギリスなどでは、探偵が法的に認められた権限を持ち、警察と協力して調査を進めることができます。これにより、探偵業は広く社会に浸透しており、その信頼性も高く評価されています。探偵業が社会的に認められることで、依頼者にとっても安心してサービスを利用できる環境が整っているのです。

日本でのライセンス制度の導入

このような現状を踏まえ、早急に日本でも欧米のように探偵業のライセンス制度を導入し、社会的地位を向上させることが求められています。ライセンス制度を導入することによって、探偵業務の信頼性が向上し、依頼者に対する安心感が得られるようになるはずです。また、探偵業が法的に認められた範囲で活動できるようになれば、調査の幅も広がり、より多くの依頼者に対して適切な支援ができるようになるでしょう。特に、個人の問題に関する調査や、企業からの依頼など、様々な分野で探偵業が活躍することが期待されます。

ライセンス制度が導入され、社会的地位が向上することで、探偵業界に新たな風が吹き込まれるでしょう。それは、依頼者にとっても、調査業務に従事する人々にとっても、非常に大きな変化となるに違いありません。社会全体にとって、より健全で信頼性の高い探偵業界の実現が求められているのです。

興信所を利用する際には、業者を選ぶ目が大切です。

「依頼人の個人情報は同意がある場合や法律にもとづき要請された場合を除き第三者に提供・開示しない事」をお約束できる安心な興信所に依頼をしてください。個人情報保護がきちんとできている興信所は間違いがありません。プライバシーポリシーをチェックしてみてください。

興信所は、限られた権限の中でも、依頼人に確かな事実と情報を提供するのが使命です。
法に触れることなく速やかな探偵調査を実施していくには、豊かな知識と多くの経験が必要となります。当社はプロの興信所ならではの調査力で奥の深い探偵調査を致します。