興信所・探偵事務所は依頼を受けて調査する場合、法令を順守する義務が課せられています。

探偵による行き過ぎた調査が行われるのを防ぐため、公安委員会は探偵業法を違反した興信所・探偵事務所に対して、行政処分を命ずることができるのです。

請け負っている業務の進行状況の報告や資料の提示を求めることが可能なうえ、必要とあらば警察の立ち入り調査も許可します。

警察が興信所・探偵事務所に入って行うのは業務状況の確認や名簿の検査、さまざまな書類のチェックに物件の検査など多岐にわたります。

また警察官が関係者に対して質問を行うことも可能です。

これらは探偵業法第13条に定められている内容を抜粋したものですが、違反した場合は興信所・探偵事務所に罰則が下されます。

これが行政処分と呼ばれるもので、指示と営業停止命令、それに営業廃止命令の3つがあります。

それぞれの行政処分には違反の程度に応じた懲役と罰金が科せられ、行政処分を受けた業者は、各都道府県が作る行政処分公表ホームページで確認することができます。

ただし、都道府県の中には処分を受けた業者がわかるページを作成していないところもありますので、調査を依頼する場合は念入りに調べることが重要です。

行政処分の詳しい内容

探偵業法第13条は、探偵が法令を適正に順守しているかを監督することを目的としています。

そのため探偵事務所・興信所に警察が立ち入り検査を行うことを認め、警察は犯罪行為が行われていないかどうかチェックすることができる権限を持ちます。

探偵は依頼人から提供を受けた情報について、犯罪行為に用いないという旨の契約書や説明書を作成しなければなりません。

調査に携わる従業員についても詳しくチェックし、違反が認められた場合は行政処分の対象となります。

行政処分で最も軽いのが指示で、業務内容に違反が認められた場合は必要な措置を取るよう命ずることができます。

たとえば探偵調査の際にはっきりとした証拠を掴むため、目的とする家にこっそり入ったとします。

しかしこの行為は刑法第130条で定められている住居侵入罪にあたり、探偵業務では探偵業法以外の法律に違反した場合も法令違反とみなすため、罰則の対象となります。

住居侵入罪は正当な理由なく個人の邸宅や住居に侵入し、退去の要求を受けたにもかかわらず退去しなかった場合に3年以下の懲役、または10万円以下の罰金に処すというものです。

確実な証拠を掴むためとはいえ、探偵が住居侵入罪を犯すことは許されません。

これはあくまでも一つの極端な例にすぎませんが、探偵業を行うにあたってこういった行政処分を受ける興信所・探偵事務所が実際に存在するのが現状です。

さらに重くなる行政処分とは

指示行政処分の範疇を超える違反があった場合、次に科せられる罰則は営業停止命令です。

営業停止命令は指示に違反した場合や探偵業法に違反に該当する行為が認められた場合に科せられる処分で、業務の全部または一部について6か月~1年以内にわたる期間の業務停止を命じます。

最も重い処分となるのが営業廃止命令で、探偵業法第3条各号に該当する者が探偵業務を営んでいた場合に廃止を命ずる処分です。

探偵業法第3条各号は欠格事由とも呼ばれ、6つの項目が制定されています。

警視庁のホームページに詳細が記載されており、これらの項目に該当する者は探偵業務を営むことはできません。

営業廃止の行政処分は1度の違反で即営業許可が取り消され、その後は一切の探偵業務を行うことができなくなります。

営業廃止命令や営業停止命令に違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。

その他の条例に定められた行為に違反した場合、違反の程度によって6か月以下の懲役または100万円以下の罰金、30万円以下の罰金という3段階の罰則が設けられています。